甘く、甘い、二人の時間
そして夕方。
資料を届けたら直帰でいいと言われ、早めに会社を出て来た。
朝よりましな顔になったけど、ブサイクに変わりはない。
早く届けて早く帰ろう。
シャワーを浴びて、ゆっくりたっぷり半身浴して――…
どうでもいい事を考えて、昨日のモヤモヤした気持ちを無かった事にしたかった。
時間が経てば忘れてしまうだろうって、考えようとしたのに。
「…たく…み?」
思わず声がこぼれた。
私が向かっている駅の改札に拓海の姿。
いつもなら、走って追いかけるけど。
今日の私には出来なかった。
拓海の隣にはスーツを着た可愛らしい女性がいた。
楽しそうに話ながら、歩いて行く二人。
もしかして、昨日の電話のひと?
心臓がドクドクと煩いくらい音をたて、街の喧騒が耳に届かなくなった。
どんどん遠くなる二人から、目が離せなかった。