甘く、甘い、二人の時間
涙は女の武器なんて言われているから、なんとなく、泣いて訴えるのはフェアじゃない気がして。
だけど堪えきれない涙が溢れてくるから。
もう冷めてしまったロイヤルミルクティーを飲み干す事なく席を立つ。
「おい、菫?」
呼ばれても、拓海の顔は見れないから。
「……今日は帰る。」
自分でも、まずい!と思った涙声で告げて、足早に店を出る。
「こら、菫!ちょっと待て!!」
こらって、何様よ?
待てって、待つわけないじゃないの!
なんて、色々心の中で突っ込みを入れながら、肌寒い街中を駆け抜けた。
大人な拓海は、焦りながらも会計を済ませてから店を出るはず。
だから、人混みに紛れてしまえば見つからない。
そんな事を考えて、私の足はデパ地下に向かう。