里帰しの3人
3.
ちゃんと手当てをして、伯父の仕事手伝いを再開しようとしたその瞬間だった。

手当てを受ける為に座っていた椅子から、

イーシャが立ちあがろうとして……椅子が倒れると同時に、自身もその場に倒れ込んだ。

ただつまづいて転んだだけ。それだけなら良かった。

だけどそこにはつまづくような溝もなければ、物も落ちていない。

私が近付くよりも早く、レイが倒れたまま動かないイーシャの額に手を当て、

舌打ちをした。その表情は険しく、普段のレイならその次には怒鳴り散らすだろう。


「何で、俺達はそう思い込んでいたんだ……?」


その声は何処か震えているようにも、自分を責めているようにも聞こえる。

一体何があったのだろうと思うよりも早く、ある事に私も気付いた。
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