夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「真弥のベルはノンちゃんが持ってるんだよな?」
あっ…喋り方が元に戻ってる。
もしかして“好き”って思いを伝える時にだけ、甘い口調になるのかな?
1種の緊張と照れ隠し?
フフッ♪もしそうだとしたら、滅多に見られない、レアな俊ちゃんを見られたって事だね♪
「うん。家を出る時に預けてきた」
そう答えると、俊ちゃんは子機を片手にベルを打つ。
すると直ぐに、携帯が鳴り出した。
「あっノンちゃん?ごめんけど、今夜真弥を借りるよ?家の人、うまく誤魔化せる?」
「…うん。どうしても話し合わなきゃいけない事があってさ」
「あっ、うん。聞いた。…うん。バレないように早朝までには送るから、宜しく」
そ…早朝!?
そんなに長く話し合いをするの!?
起きていられるか自信ない…。
「真弥、ノンちゃんが上手くやってくれるから、今日は俺んちに泊まりだよ?」
泊まり!?
私、男の人の家に泊まるのは、初めてなんだけど…!?
変な緊張感に、体が硬直する。