夏の空~彼の背中を追い掛けて~


「……真弥。…今、真弥が背負ってる苦しみを、俺にも分けてくれない?」



へっ?



思い掛けない台詞に、俊ちゃんが何を言いたいのか、良く理解が出来ない。



それを分かってか、言葉を付け足すように話を続ける。



「今すぐ結婚しようなんて言えないけど、子供を産ませて貰えるように俺も両親を説得する!だから2人できちんと話し合おう?」



えっ!?



俊ちゃんの言葉に驚いて顔を見上げると、そこには苦悩する顔はなかった。



「私は俊ちゃんの彼女じゃない…。絶対に反対される…。それに子供を産むって事はどう言う事か分かってるの?」



「分かってるよ。俺は父親、真弥は母親になるって事だろ?ただ…俺、資格取る為に専門学校へ行くから、結婚は養えるようになるまでは無理だと思う」



「うん。それは分かったけど…俊ちゃんは子供の為に結婚するのって、辛くないの?好きでもない人と暮らすんだよ?」



「あっ!ごめん…。大事な事をまだ言ってなかった…。俺…真弥の事が好きだよ。だから父親になる事も結婚も、辛いなんて思わないよ」



「俊ちゃん…有り難う。私も好き。大好き。大好きだよ…」



俊ちゃんの首に腕を回し、ずっとずっと言いたかった言葉を、何度も何度も伝えた。



「俺も…好きだよ」



CHU!



今までとは違う愛のある甘いキスを交わして、私は俊ちゃんの部屋へと帰った。





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