夏の空~彼の背中を追い掛けて~


「陽人が呼んでるから、一緒に来て」



「ヤダ!放して!!」



「あっ…ごめん……」



彼は気が弱いのか、強めの口調で言うとアッサリと手を放してくれた。



その隙に紀香がサッと私の隣に座り、謗らね顔でバリケードを作ってくれる。



『もう外へ連れ出すのは無理』



そう悟ったのか、困った顔をしながら彼はドアへ向かって歩き出す。



「意気地無し!早く真弥を連れて来いよ!!」



休憩室に届いた陽人の言葉に、彼は歩みを止め、再び私の方へと足を踏み出した時だった。



前方に座っていた○○工業生がスッと席を立ち、勢い良く駆け寄ると、彼の胸ぐらを掴んで壁際へ押し付ける。



ドンと言う鈍い音に、誰もがそこへ注目する。



「お前、俺の女に何してる!?」



今にも獣が噛み付きそうな、ドスの効いた低い声が、休憩室内を一気に不穏な空気へと変えていく。



お…俺の女!?



まさか俊ちゃん!?



私達に背を向けている為、その確証がない。



もしそうであったら凄く嬉しいんだけど、私の目の前で女と並んで座っていた事になる。





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