夏の空~彼の背中を追い掛けて~


「真弥さん、俊介の為にも一緒に前へ進まない?」



「前へ…進む?」



「そう。泣くのも悲しむのも今日でお仕舞い。いつかあっちの世界で俊介に会った時、胸を張って言えるように、笑って過ごしましょう?」



笑ってって…どうやって?



愛する人を失って、そんな風に過ごすなんて私には無理!



けど、お義母さんにとっては18年間育ててきた息子に、先立たれてしまったのだ。



きっと、私の何10倍も悲しい思いをしたに違いない。



そのお義母さんが、前へ進もうとしている。



俊ちゃんだって“どんな困難も、2人でだったら乗り越えられる!”とメッセージを残しているし、何の努力もしないで、無理だと決め付けているのは自分自身。



不可能な事なんて絶対に無いし、俊ちゃんを忘れる訳じゃない。



目の前に立ちはだかる“悲しみ”と“苦しみ”の壁を、私も乗り越えてみよう。



「お義母さん…。まだ時間は掛かると思いますが、必ず笑って過ごせる日が来るように、私なりに努力してみます」



「ええ、真弥さんならきっと乗り越えられるわ。俊介は私達の心と記憶の中で、ずっと生き続けるんだもの。一緒に前を向いて進みましょうね」



柔らかく暖かみのあるお義母さんの笑顔が返って来た。



翌日、まだまだ気分は乗らないものの、1歩を踏み出す為、私は学校へ登校した。



教室へ入ると、皆の驚いた顔が向けられる。



きっと、私が休んでいた理由を知っているのだろう。





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