夏の空~彼の背中を追い掛けて~


卒検目前で、あんな事があったから行けてないんだよね…。



高校にはどうにか登校出来たけど、行けるかな…自動車学校。



「真弥、お腹が大きくなったら運転するの厳しくなるし、今のうちに取っておかないと、また1からやり直しになるよ?」



「分かった……明日から行く…」



全くヤル気は起きないけど、学費を払ってもらってるし、このままと言う訳にもいかない。



半ば仕方なくではあったけど、翌日から自動車学校へ行く事になった。



受付へ顔を出すと、担当の教官が声を掛けてくる。



「直方さん!待ってたよ。事情は田川さんに聞いてるけど、もう大丈夫なのか?」



「う゛……。は…い……。大丈夫…です」



本当はちっとも大丈夫じゃない。



かなりの人数が減ってるとは言え、まだまだ知らない男の人も多いし、つい俊ちゃんの姿を探してしまう。



毎日毎日、私と赤ちゃんを守る為に会いに来てくれた記憶が鮮明に浮かび、寂しさで胸が締め付けられる。



ジワジワと視界が霞、零れ落ちそうになる涙を必死で堪えた。



「直方さん、1·2時間目8号車が空いてるから、今からそこへ行きなさい」



優しく気遣うような教官にコクコク頷いて答えた後、私は8号車に乗り込んだ。



シーンとした車内は、私の中の寂しさをどんどんどんどん外の世界へ放出し、我慢し続けた数週間分の涙が一気に溢れ出す。





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