夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「漣、先に部屋へ行っててくれる?」
「あ、うん」
1歩1歩、静かに階段を上がり始めた漣を確認すると、私はキッチンへ行き、飲み物をお盆に乗せて部屋へと急いだ。
「ごめんね、散らかっててビックリしたでしょ?」
「そんな事ないよ。何か作ってたの?」
漣は針が刺さったままのオムツを、危なくないように畳み、テーブルの隅に置く。
「赤ちゃんのオムツを縫ってたの」
「真弥らしいな。手芸が得意だもんな」
「へへっ♪そんな事ないけど」
「そんな事あるさ。これ覚えてる?」
漣はジャケットを脱ぎ、着ていたセーターを指差す。
それ……付き合ってる時に私が編んだセーター。
「まだ持ってたんだ…。捨てたと思ってた…」
「そんな簡単には捨てられないよ。俺にとって真弥は、忘れられない特別な存在だから…」
えっ!?
漣の意味深な言葉に、思わず心が動揺する。