夏の空~彼の背中を追い掛けて~
「真弥、送るからこれ羽織って」
俊ちゃんに真っ白いパーカーを渡されたけれど、何故それを着ないといけないのか分からない。
「外、雨降ってる。9月って言ってもここは寒いから」
あっ!それで貸してくれたのね。
先に言ってくれなきゃ分かんないよ。
「有り難う。借りるね」
パーカーに袖を通すと、ほのかに俊ちゃんの香りがした。
優しく包まれてるみたいで、顔の締まりが一気になくなる。
「じゃぁ帰るか!」
「うん」
先に部屋を出た俊ちゃんの後を付いて行くものの、本音を言えば帰りたくない。
もっともっと一緒に居たい。
彼女だったら言えるのに、私には言えない。
言葉に出せない事が、今は苦しい。
私は重く沈みそうになる気持ちを振り払い、バイクを引く俊ちゃんと納屋を出た。