もらう愛=捧げる愛
「ヤバ…」


「?」


「初音さんのベビーフェイスって、スゲー無防備…」


無防備って…25にもなる女の子にふさわしい表現なのか、褒められてるのか、けなされているのか。


わからないまま首を傾げると、栗毛色の巻き髪が春の風にそよいだ。


風に泳ぐ髪を、ハルくんの左手がすくう。


だから、あたしは。


また胸にかゆみとドキドキを覚えるんだ。


あまりの心拍数についていけないあたしは、軽い目眩すらして、ぎゅっと目をつむる。


1…


2…


3…


「ふぅー…」


少しだけ息を吐いてバッグを持つ手に力をこめると、あたしの髪からハルくんの手が引いた。


同時にあたしの心臓も少しだけ、落ち着く。
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