もらう愛=捧げる愛
「ごちそうさまでした♪」


あたしより早く食べ終わったハルくんは、砂糖たっぷりのコーヒーを飲みながら、優しく笑った。


甘く細めるその目に、あたしは一瞬恥かしくなる。


なんかガッツイて食べちゃって…かわいさのカケラもない。


他の男の人との食事なら、食べる量を半分にして、


「もうお腹いっぱいなの」


なんて言いながら、ワインだけは多めに飲んで、ちょっと酔ったフリをする。


「酔った初音はかわいいな」


って、必ず言わせる。


なのにハルくんとは。


素の自分でしかいられない。


うまくしゃべれない戸惑いも、空腹まかせの食べっぷりも、あたしのまんま。


いつものペースが。


保てない。
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