もらう愛=捧げる愛
「おはよう、初音さん」


「おはよう、ハルくん。昨日はどうもありがとう」


「こちらこそ。夕べ、友達とは楽しめた?」


「あ…うん。せっかく飲みに誘ってくれたのに、ごめんね?」


パソコンを起動させ、あたしはハルくんの右隣に座る。


「…あ」


「どうしたの?ハルくん?」


「初音さん、左手の甲、赤いよ?ヤケドとか?」


「うん…。まぁ、ね…」


「見せて?」


「平気!大丈夫なの。ありがとう、ハルくん」


多田さんに噛まれたあたしの汚い手なんか見せられない。


左手の甲にそっと右手を重ねた。


「平気、だよ?」


心配そうなハルくんにもう一度念を押して、あたしは仕事に打ち込んだ。
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