もらう愛=捧げる愛
「恩を着せるつもりはないよ」


「…え?」


「多田との事はなんとかする。だけどそれはオレが何とかしたいからで、初音を繋ぎ止めるための手段ではない。この一件が片付いたら初音はもう自由だ。自由にどこでも飛んでいけばいい」


自由に…飛ぶ…?


こんなにも汚いあたしが?


汚れてしまったあたしの行き場なんて…ナイ。


あたしはきっと、いつまでも多田さんの影に怯えながらこの先ずっと、1人震え泣く、そんな未来しか見えない。


ボロボロになるまで…ううん、枯れるまであたしは多田さんの言いなりに支配される。


従うしかない、毎日毎日あたしの中に多田さんは欲情を吐き出す。


あたしが自らの手で引き寄せてしまったのは。


今のこの現実。
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