もらう愛=捧げる愛
「今晩、多田と3人で話し合おう」


「でも…!」


「見返りが欲しいんじゃない。そりゃ、初音がオレを選んでくれればこんなに嬉しい事はないさ。だけどな、初音は今、ただ怖いだろ?怯えて誰かにすがる事すら、恐怖だろ?多田と離れて、オレからも離れて自由になるといい。初音に今必要なのは“自由”だよ」


「課長…」


あたしに想いをくれながら、それでも自由を選べと言ってくれる課長の胸に。


あたしはしがみついて、泣いた。


何時間もそうして泣き続け、また今日多田さんと向き合う少しの勇気をもらったあたしは、いつの間にかソファーの上で課長にもたれかかったまま、眠りについた。


───………。
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