愛する人。
* レンside *


 アナタを

 やっと見つけた――…


 ************



「……チッ」

「社長…。舌打ちはやめましょう、舌打ちは」



 俺の秘書の川崎が苦笑いで後部座席に座る俺に注意する。

 俺は聞こえていないかのように、黙って窓を流れる風景を見ていた。




 今は雪が舞っていて、海岸沿いのこの路は不似合いな俺の車しか走っていない。





「あ…」



 ―――まだ、いた。




「……?社長?何か…」

「車を止めろ」

「はいっ?!」


 俺の言葉に慌ててブレーキをかける川崎に、「危ないだろ!」と怒鳴りつけ、そのまま車を降りた。




< 20 / 440 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop