愛する人。





 季節は巡って。


 気付けば、裕太にぃに会ってから何度目かの秋が近付いていた。



 相変わらず裕太にぃに会いに来る彼女を見かけながら、病院に顔を出す俺。




「ねえ。
 裕太にぃはさ、退院したら何したい?」



 母と兄からは何となく、裕太にぃの話を聞いていた。


 心臓の病気。

 今まで何度か手術をしたけれど、なかなか上手くいかなくて。年内にもう一度大きな手術をしないと命が危ないらしい。



「う〜〜〜ん……難しいなぁ。
 大学でまた勉強もしたいし、社会人として働きたいし…。

 でも……やっぱり一番にしたいことは、優子をどこかに連れて行ってやりたいな…」




< 266 / 440 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop