愛する人。




「大学は、もういいの?」



 話すのも苦しいのか、ゆっくりとした口調で俺の近況を聞いてくる。

 もう何年も変わらない、俺達の日常。



「ああ。俺も新しい会社立ち上げてるし、そっちに忙しいよ。

 大学はもう卒業式まで行かなくて大丈夫だ」



 ベッド横の丸イスに座るため、イスを引くと。

「……っ」


 まだ、彼女の温もりが残っていた。



「……蓮くん…?」

「あ…っ……いや、何でもない」



 イスに腰掛けながら、心臓が早鐘を打つ。


 なんだ……これ。





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