愛する人。
* 12 *





「え、と……ここって…」




 私の声に、彼はクスクス笑いながら歩き始めた。

 手を繋いでるから必然的に私も歩く。





「約束したよね?」


 ――瞬間。


「……した!覚えてたの?!」



 嬉しくて彼に飛びついてしまった。




 入り口には大きなクジラとシャチのオブジェ。



 そう。ここは、水族館。


 あんな小さな約束を、覚えててくれたんだ。



 嬉しすぎて泣きそうになるのをグッと堪えて、彼の後ろを着いていった。



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