愛する人。







 笑ってしまう。



 話しながら“やっぱり”と。

 俺は、やっぱり彼女の幸せなんて望めないんだ。



 自分が可愛くて。

 自分が傷つきたくなくて。



 ―――愛しい彼女を傷つけても尚、自分が傷つきたくないなんて……。


 なんて身勝手な。

 なんて子供じみた“愛”だ。


 こんなの……ただの独りよがりだ。







 あの人のように穏やか愛なんて……


 最初から、望めやしなかったんだ―――。




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