愛する人。





「……はぁ………」



 広い岩風呂に、乳白色の熱めのお湯。

 周りには遮るものはなく、山々が連なって、濃紺の空には都会ではけして見られない星空が広がっていた。




「……いい所だろ、ここは」


 声に、あえて振り向かなかった。




「麻由美が気に入ったんだよねー。

 俺はもっと大きなホテルで式を挙げてそのままスウィートに泊まって――…って考えてたんだけど。

 あの教会と、この温泉がいいって言うからさぁー」



 ザブーンと大きな音を立てながら、貸し切りのはずの露天風呂に入ってきた海斗。


 よっぽどホテルが良かったのか、まだ口を尖らせてる。




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