亡國の孤城 『心の色』(外伝)
クライブが片手で脇にしっかりと抱えていたのは………子供。
……少女だ。
この暗がりでも分かる程の、色白の肌に長い金髪。
質は良いが、血に染まってしまったボロボロの服。
………意識が無いのか、ピクリとも動かない。クライブの走る振動と呼応して揺れていた。
訝しげな表情で見詰めるバレンを再度見やると、クライブは少女を抱え直し、走る速度を上げた。
「………話は後だ。…リンクス…」
「はっ」
クライブに呼ばれ、背後のベルトークは素早く返事をした。
「………総員退去と、思念伝達をしろ。………まだ城付近に残っているやもしれん」
「…御意」
答えるや否や、ベルトークは視界から消えた。
「………クライブ…」
「…………話は後だと…言っただろう。……………………戻り次第、私の元にグラッゾと来い…」
クライブは更に速度を上げてバレンを引き離し、“闇溶け”で消えた。
………独り残されたバレンは、森の中で急に立ち止まり……真っ暗な空を見上げた。
……快晴なのに、星が一つも見えない。
―――不気味な夜空だ。
「………冗談……………きついぞ………」
………終わりにしたかった事が…また新しい糸を手繰り寄せて、自分から………………絡み付いていく。
絡み目が分からない。
明日が、見えない。