亡國の孤城 『心の色』(外伝)
―――…クーデターを勃発させてから、もうすぐ一年経つ。
季節は春の盛り。
……戦火が散る中で、外の自然はそんなことお構いなしに、春を満喫している。
温かい春の陽気は生き物の眠気を誘い、草花の成長を穏やかに見守る。
人間社会とは真逆の、平和な世界。
それに便乗して、ちょっとはその陽気とやらに溶け込みたいものなのだが。
「………ここってよ、暗くてジメジメしてて寒くて冷たくて寒くて寒くて寒くて…………………何か、もう、やってらんねぇよな…」
「………何を今更。……バレン、私が貴方に尋ねたのは、現在の第5部隊の戦力が如何ほどか…というものでしたが…………何故そんな答えが返ってくるんですか…」
…椅子の背も垂れに、これでもかと言う程もたれ掛かり、真後ろに首を曲げてだらしなく両手を伸ばしたバレン。
指先で摘んだ羊皮紙をプラプラとぶら下げ、徐々に埃塗れにしていく同僚に、グラッゾはやや顔をしかめた。