誠姫



合唱部の美しい歌、演劇部の素晴らしい出し物、生徒会からの素敵なプレゼント。



あっという間に時間は過ぎ、太陽はもう傾き始めていた。



変わらぬテンションで司会者がマイクを握り、大きく息を吸って、今までにないくらい大きな声で発語した。



「みなさーーーーん!!時間もだいぶ経ったとこで、本日のメインイベントとさせていただきます!!」



皆それぞれの話や食事を止め、突然の司会者の声に「何だ何だ」と耳を傾ける。



初めてこのパーティーに参加した者は、首を傾げてステージを目視し、すでに16年目の姫芽としては「来たか・・」とでも言うように目を光らせた。



マイクは学園長である父に渡され、ニヤニヤと嬉しそうに姫芽へと向き直る。



「今年も、私からのサプライズプレゼントだ」



姫芽も持っていたグラスを置き、真っ直ぐと父を見た。



そして、



「ライト、オフ!!」



一気に全ての照明が落とされ、光一つ無く、会場は闇に包み込まれた。



「16年間、愛情込めて育ててきた、私の一人娘・・・」



毎年お馴染みのスピーチが始まり、ざわついていた会場も段々と静まり返る。



姫芽はそんな父の言葉を、目を閉じて聞き入った。



「・・・・・ありがとう。そして、これからも」



それが最後の言葉となり、会場に音が消えた。




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