使者の黙示録
なにはともあれ、占い師である彼女としては、団司の未来に興味がある。


「あなたを占いたいのだが」


その言葉に、さっきまでニンマリしていた団司の顔に陰りが差す。

彼女は、すぐに団司の心を読みとる。


(占いを、うさん臭い商売だと思っているのだろう)


しかし彼女は、なんとしても団司の未来を知りたい。


「料金は要らない。私が占いたいのだから、タダでいいよ」


彼女がそう言っても、団司の顔色はさえない。


「お願いだから、ちょっとだけ付き合ってもらえないかな」


独身男性にとっては、なかなか強力なセリフである。

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