使者の黙示録
「でも、どこの国の文字か分からないから、読めないや」


団司はそう言うが

占い師の女性以外に、この青い文字が見えるのは、彼女の一族の人間だけだ。

しかし、それなら見えるだけでなく読めるはずである。


団司を茫然と見つめていた彼女は

文字が浮き出ている布きれの方へ、再び視線を落とす。


(……)


真剣なまなざしで文字を追う彼女は

やがて、その疑問を解くに至る。


「そうか」


落ち着いた顔で団司を見上げる彼女は

待ち焦がれていた人物が、やっと現れたというような心境で語るのだった。


「あなたが、使者だったのか」

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