使者の黙示録
ルゼが気にかけているのは、シスター・マヤのことではない。


別段、変わったことが起きているようには思えない街並みは

数日前から、ルゼにしか分からない異変にさらされている。


ルゼが己の意識を心に移せば

一般人には見えない「うす紫の雨」が、街中に降りそそいでいるのを感じる。


だが、その雨を浴びたからといって、人体には何も影響はなさそうであり

人だけでなく、他の動物や昆虫、植物においても

この雨が、それらの生命に何らかの影響を与えているとは思えない。


しかし、ルゼは今までにない胸騒ぎを覚えるのだった。

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