使者の黙示録
一般の人には見えず、感じることもない奇異な現象は

なんの前触れもなく、いきなり終わりを告げる。


それなのに、ルゼの胸には

安心という言葉とは反対の想いが、際限なくわき上ってくる。


「うす紫の雨」が、何にどういう影響をもたらすのか、ルゼには分からない。

だが、その雨が降り止んだ意味を、彼女は瞬時に理解する。


次に起こる事への準備が

いま、終わったのだ。


(なんてことだ…こんなに早く!)


彼女がもっとも恐れていた事が、これから始まろうとしている。


(使者よ、今どこにいる!)


ルゼは慌てて椅子から立ち上がった。

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