使者の黙示録
「……」


空耳かと思ったが、妙に気になる。


団司は、ベッドからガバッと身体を起こすと、さっそうと着替えはじめる。

あれほど動こうとしなかった身体が、俊敏に行動に移る。


そういう自分を不思議に思いながら、ひととおり着替えを済ませた団司は

紺のジャンパーに袖をとおし、タフソーラーの腕時計を左手にはめて


靴を履こうとしたところで、タバコを忘れていることに気がつき

慌てて取りに行きながら、いまの自分を思う。


(かなり焦ってるな、俺)


なぜ、これほど焦っているのか

団司は自分でも分からない。

< 255 / 357 >

この作品をシェア

pagetop