使者の黙示録
3日ほど前に公園をぶらついていたとき

自転車置き場に、まだ充分に使えそうな自転車が捨てられていたことを

ルゼは、ふと思い出したのだ。


(良かった、まだある!)


前ブレーキのワイヤーが切れ、ライトも壊れ、ベルは盗まれていたが

捨てられたときからロックは取っ払われ、すぐに乗れそうなママチャリがまだそこにあるのは

ルゼにとっては幸運だった。


タイヤの空気がかなり減っているが、そんなことを気にしている場合ではない。


(使者は、どこへ行こうとしているのだろう?)


ルゼはその自転車に乗ると、団司の後を必死で追って行くのだった。

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