使者の黙示録
「使者よ」


ルゼは頭上を見あげたまま、やるせない想いで団司に告げる。


「いま、ひとつの歴史が終わる」

「!?」


わずかな時間、ルゼの言葉に呆然となった団司は

その言葉の意味を心の底で理解したとき

座っているベンチから弾かれたように立ちあがり、アーケードの通りに向かって走り出す。


「使者よ、どこへ…」


ルゼの声が耳に入らない団司の走りは、明らかに何か目的がある走りだ。

団司の後を追いたいルゼだが、もはや走る体力など残ってはいない。


(そうだ)


ルゼは、自転車置き場に疲れた身体を急がせる。

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