使者の黙示録
これから自分たちが生きてゆく上で、いま寝食に利用している車は

絶対に必要だというほど、なくてはならないものであるが

それが、なんの損害も受けずに災害前と変わらずに使えるのは

神が、生き残った自分たち人間のことを考えての差配としか思えない。


(これは、神の配慮なのか…)


ルゼの心に、神への感謝の想いがふつふつとわき上がる。


ありがたい感慨にひたりながら、目のまえに広がる廃墟をボーッと眺めていたルゼは

深刻な問題が残されていることに気づき、顔から血の気が引いてゆく。


原発の存在を思い出したのだ。

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