恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
「でも……」
「でも、何?」
翡翠が怖くて言葉が出ない。
いろんな男と寝たことは変えることの出来ない過去で、何も知らない自分に戻りたくても戻れない。
忘れたくても、身体が覚えてる。
「はぁ……
俺はユリがどんなことをしてきたのかは知らない。
だけど、一ヶ月の間一緒にいて、些細なことに悲しんだり喜んだりしてるお前を見て、"俺は"純粋だ、綺麗だって思った」
"俺は"……
翡翠はそう思ってくれてる。
それだけで、少し気が楽になった。
「ひすい……ッひす…いッ」
翡翠にしがみついて泣いた。
そんなわたしを翡翠は優しく抱きしめて、頭を撫でてくれた。
そして、こう言った。
「俺はお前を守りたい。だから………
俺の傍にいろ」
その言葉を最後に、わたしは意識を手放した。