雨宿り



「そ、そうなんかなぁ」

「美桜…あんたも渉君が好きなんやろ?」

「う、うん」

そやけど

「阿呆はないと思うわ」

阿呆、阿呆連発されたんやで。

「それも…渉君の愛情表現や」

愛情表現!

どこが?

「薔子姉、江上先生に阿呆て言われた事ないやろ」

「そら、知之(江上先生の名前ね)さんは渉君と違うて大人やさかい」

大人…大人かぁ。

江上先生は穏やかで落ち着いてて 優しいて…渉はまだまだ追い付かへんな。

いずれは渉も江上先生みたいな大人になるんやろか?

想像できひん。

渉は今のままが…ええな。

「…桜、美桜って」

「えっ?」

「何ボケてんのん?」

「桃、決まってるやん、渉君の事考えてるんやん、な」

大姉がウインク!

は、恥ずかしい。

「早よ仲直りしぃや」

「仲直りって私…悪ないもん。私から謝るのはいやや」

そやろ?

私から謝るなんて…

「はぁ~」

二人が溜め息ついた。

「もぅ、お姉ちゃんら出てって」

二人を追い出し、ベッドに寝っころがった。


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