雨宿り
図書館で渉が計算してる。
なんでこんなに真剣なんやろ。
よっぽど勝ちたいんかな。
やっぱ男って女より上にいたいんかな。
今まで勝ってたり同点やったのって…渉としては気に入らへんかったんやろか。
あ~よぅ分からん。
何か溜め息出そう。
――
―
「出たで」
「うん?」
渉が満面の笑みで
「やっと勝たせて頂きました」
12点差か!
まぁ、しゃあないな。
「改めておめでとう」
「ありがとう」
全力は尽くしたし、悔いはない。
「で」
「で? って何?」
「渉 勝ったやん。何か望みは?」
賭けはしてへんけど…やっぱりご褒美はいるわな。
「う~ん、ほんまにないけど…あっ、そうや」
「何?」
「一つあるんやけど」
「うん」
何やろ?
ややこしい事ちゃうやろな。