雨宿り



「美桜」

「うん?」

「これからな」

「うん」

えらいマジな感じやな。

何を言い出すんやろ。

「これから自分の事を可愛いないとか、根暗やとか絶対言うたらあかん」

えっ?

ど、どういう事?

「美桜はマジで自分の事、そう思てるか知らんけど、他の奴が聞いたら嫌味にしか思わへんで」

はぁ?

「な、なんで?事実やんか」

渉、何言い出すんや。

惚れた欲目もここまでいったら、そっちの方こそ嫌味やで。

「そんな顔すんな。お前は誰が見ても可愛いし明るい。お前が根暗やったら俺かて、いやクラス全員が根暗やんけ」

「……」

「何か反論は」

「そ、そやかて…渉と つ、付き合い初めた時」

「うん?」

「『何処がええのん、あんな根暗のガリ勉』って言われたもん。みんなそう思ってるんや、きっと」

あの子らだけちゃうわな。



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