雨宿り



「お前の事を、いや、どんな人の事でも、そんな聞こえよがしに悪口言う奴の方がよっぽど不細工や」

えっ?

「どんな綺麗な顔してても、それはちっとも美人やない。そいつらこそ、こそこそした陰険な奴やんけ」

「……」

「美桜」

「……」

「俺が勝ったから約束やで。俺の前だけやなく、家族や友達、他の誰にも自分を卑下するような事を言うたらあかん。これが約束や、ええな」

「……」

「美桜?」

「う、うん」

「約束やで」

「…うん」

私…ほんとに根暗ちゃうのかな。

渉に言われたら、そんな気がしてきた。

可愛いはないけど…根暗でないんやったら嬉しい。

変やな。

今まで お姉ちゃんらに何回も「根暗ちゃう、あんたは明るい」って言われ続けてたけど、妹やから言うてくれ てるんやて思ってた。

そやけど…渉に言われたらそうかもしれんと思えてしまうなんて。

恋の力って偉大やな!

私の性格まで変えてしまうんや。

やっぱり渉は私の魔法使いさんかもな。

「美桜」

えっ?

考えてたら、いつの間にか渉の顔が… ち、近い!

「美桜は俺にとって世界で一番やで」

耳元で魔法の言葉を囁きながら

キスされた。

甘い甘い魔法のキスを……




※Fin*




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