雨宿り





チュッ!

委員長からキスされた。

これ、夢か?

夢やったら覚めんといて…

「大好きやで。彼女にして」

委員長が俺の耳に囁いた。

空耳なんやろか?

俺が聞きたい聞きたいと思ってるさかい幻聴かもしれへん。

一年間、思い続けたんやから…

――



あれは高校に入って間もない頃

帰ろ思たら、雨や…

結構、降ってんなぁ。

どうすっかなぁ。

「君?」

えっ、俺か?

声のした方を見ると、

背の高い髪の長いフレームレスの眼鏡を掛けた大人びた女子がいた。

先輩やろか?

「傘、無いのん?」

「は、はい」

「ほな、これ使って」

「えっ?いや、そんな」

俺が傘借りたら、この人どうすんねん。

その人は、ニコッと笑い

「あぁ、大丈夫」

ドキッ!

何か今、胸が…

その人は鞄から折りたたみ傘を取り出して

「傘、ほら二本あるし」

何で二本?

「これビニール傘やから、返さんでもええよ」

驚いてる俺に傘を押し付け

「じゃあね」

傘を挿し一足先に帰って行った。

俺は、ぼぉーと後ろ姿を見送ってた。

この時…俺は恋に落ちた。


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