ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
両肩を掴んでクルリと身体ごとこちらに向かせると、乃亜は切なげに俺を見上げた。



「と言う訳で、少しの間お別れだ、乃亜」


そう言うと乃亜は、ブンブンと首が千切れるんじゃないかと心配になるほど、頭を左右に振った。



だから――

いつもしているように、乃亜の腰に両手を回し、尻を下からすくいあげるようにして抱き上げた。



乃亜の目線の高さが俺のそれより少しだけ高くなった。


不安気に見下ろす乃亜の濡れた瞳が、俺を切なくさせる。



乃亜。

今の俺はお前のためだけに生きている。だから、お前を残して死ねる訳がないんだ。


心配すんな。



――って、ちゃんと口に出して言えない俺は、やっぱヘタレか。


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