赤い下着の主

 レースのカーテン越しには、あの赤い下着は見えなかった。

 Tシャツとパンツ一丁のまま、一旦一階のトイレで用を足し、冷蔵庫からペットボトル入りの飲み物を持って部屋に戻る。

 今頃普通の高校三年生であれば、受験やら就職活動やらで忙しいのかもしれない。

 しかし中学受験までして大学付属の学校に入学した優は、小学生の時に頑張った分、高校生活最後の夏休みを存分に謳歌するつもりでいた。

 小学生だった頃の自分に感謝しつつ、持ってきたスポーツドリンクをゴクリ。

 すると、レース越しに人の姿が見えた。

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