赤い下着の主
美奈実は以前の恋人と同じ部屋で生活をしていた。
いわゆる同棲という形である。
もちろん結婚を念頭において選択した形であった。
秒読みだと言われていたし、美奈実自身もそう思っていた。
しかし、いつまでたっても結婚のけの字も出さない彼は、暮らしが長くなるにしたがって美奈実をぞんざいに扱うようになった。
掃除や洗濯、食事の準備などの家事にほとんど協力することがなくなり、更には少しサボると小言を言うようになった。
私だって働いているし、あなたと同じくらい、むしろあなたより少し多く稼いで来ているのに。
そのような不満はわりと早い段階で感じていた。