赤い下着の主
優は複雑な気持ちで部屋のエアコンをオフにして、荷物を持って靴を履いた。
扉の覗き穴から外に誰もいないことを確認し、事件現場を後にする。
預かった鍵をドアに差し込むと、自分の家の扉とは違う感覚で施錠された。
新聞受けに鍵を入れてしまおうとも思ったが、今この鍵を返すともう二度と玉置と関わることがなくなるような気がして思い止まる。
その鍵を握ったまま、周囲の音にアンテナを張り巡らせて階段を降りた。
5階建てのこのマンションにはエレベーターが設置されているが、2階に住む玉置はいつも階段を利用している。
優は最初にこの部屋を訪れた日にのみエレベーターを利用したけれど、それ以来は階段を使っている。