赤い下着の主

 ふと玉置を見下ろせば、再びメガネ越しに射抜かれる。

 これでメガネがなかったら、またあの時みたいに我を失っていたかもしれない。

 優は慌てて視線を前に戻した。

「梶原君は? ご家族とどこかに行ったりしないの?」

「うちは毎年スキー旅行ですよ。冬はスキー一家なんで」

「ふーん。スキーやるんだ」

「俺と姉貴はスノボですけどね」

 ゲレンデでは女の子が可愛く見えると言われるけれど、玉置はきっと誰よりも可愛いだろう。

 そんなことをぼんやり思いながら、あのLEDの分かれ道で

「じゃあね」

 と別れた。

 何気ない冬休みトークだった。

 そして高校生活においては、これが玉置との最後の会話だった。



< 312 / 350 >

この作品をシェア

pagetop