赤い下着の主

 帰り際、玄関で靴を履いた梶原は、

「また来ていい?」

 と聞いてきた。

「二度と来るな」

 とも言えるはずなのに、

「そのうちね」

 と答えてしまった。

 こんなの、セフレ関係を承諾したようなものだ。

 高校生のくせにほんと生意気。

 美奈実の返事を聞いた彼は、幼い顔を更に子供のように緩ませて、

「ばいばい、先生」

 と言い、頬にキスをして去っていった。

 唇へのキスを期待していた美奈実は少しの物足りなさを覚えつつ、それがまた梶原の術中のような気がして悔しかった。



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