赤い下着の主

 路地に誰もいないことにホッとしつつ、自分の心臓がドクドクと脈打っているのを感じる。

「ほんっと可愛い」

「やめてよ、そう言うの」

「じゃあ、可愛くするの、やめて」

 ふわりといい香りが漂ってきた。

 嗅ぎ覚えがある。

 美奈実の使っているのと同じ柔軟剤の香りだ。

「あのねぇ、あたし、あんたより10も年上なの」

「えっ? そうなの?」

 知らなかったのかよ。

「可愛いとか、あんたが言うのおかしいじゃない」

 高校生にとっちゃ、オバサンでしょ?

< 76 / 350 >

この作品をシェア

pagetop