赤い下着の主



 昨日と同じく、梶原は事の後、甘い時間を過ごしたがった。

 その嗜好は美奈実も同じ。

 遠慮なく彼の差し出す腕に頭を乗せ、疲れを癒しながら気分を落ち着ける。

 その間も幾度となく唇を合わせ、互いの頬を撫で合って、まるで恋人同士のようにまどろみの時間を過ごす。

「梶原君って顔に似合わず落ち着いてるけど、顔に似合って優しいのね」

 彼はフフッと笑い、

「それが取り柄だからね」

 と美奈実の背をさする。

「他に取り柄は?」

「がっつかないとこ」

「それ、嘘じゃん」

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