憧れの彼と恋する方法

「何か今日疲れてます?」


スタジオの隅に立っていると、後ろから声を掛けてきたのは竜司君だった。


「りゅ、竜司くん。ちょっと昨日飲みすぎちゃって、最近まともに寝てないし」


「そっか、じゃー無理かな…」


少し残念そうな顔をして下を向いた。


「何?どうしたの?」


「いや、今日ちょっと相談があって…でも疲れてるみたいなんで、また今度でいいで…」


「大丈夫!全然大丈夫だよ!」


最後まで言い終わる前にそう言った。

全然大丈夫じゃないくせに。


でも、竜司君にあんな顔されたら絶対に断れない。

それに、今は出来るだけ竜司君と一緒にいたいし。

限られた時間の中で、少しでも長く…。



「本当?」


嬉しそうに笑顔を見せる竜司君。


そんな顔しないで。

私は馬鹿だから、勘違いしちゃうよ…。


「今日はこの後局で舞美の収録があるから、22時だったら大丈夫」


「それじゃ、またあのうどん屋でどうですか?」


「分かった、じゃー22時ね。間に合わなかったら連絡入れるから」


竜司君と仲良くなるきっかけをくれた、あのうどん屋。

なんとなく良い事が起こりそうな、そんな予感がした
< 130 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop