憧れの彼と恋する方法
「何か今日疲れてます?」
スタジオの隅に立っていると、後ろから声を掛けてきたのは竜司君だった。
「りゅ、竜司くん。ちょっと昨日飲みすぎちゃって、最近まともに寝てないし」
「そっか、じゃー無理かな…」
少し残念そうな顔をして下を向いた。
「何?どうしたの?」
「いや、今日ちょっと相談があって…でも疲れてるみたいなんで、また今度でいいで…」
「大丈夫!全然大丈夫だよ!」
最後まで言い終わる前にそう言った。
全然大丈夫じゃないくせに。
でも、竜司君にあんな顔されたら絶対に断れない。
それに、今は出来るだけ竜司君と一緒にいたいし。
限られた時間の中で、少しでも長く…。
「本当?」
嬉しそうに笑顔を見せる竜司君。
そんな顔しないで。
私は馬鹿だから、勘違いしちゃうよ…。
「今日はこの後局で舞美の収録があるから、22時だったら大丈夫」
「それじゃ、またあのうどん屋でどうですか?」
「分かった、じゃー22時ね。間に合わなかったら連絡入れるから」
竜司君と仲良くなるきっかけをくれた、あのうどん屋。
なんとなく良い事が起こりそうな、そんな予感がした