憧れの彼と恋する方法
「今日久々に早く帰れるんじゃない?」
スタジオの隅で、そう話し掛けてきたのは舞美のマネージャーの吉田さんだ。
「はい。いつもは終電ギリギリかそれより遅くなる事の方が多いですからね」
この仕事をしてつくづく感じた事。
一つの作品を作るのに、毎日朝から明け方まで撮影。
スタッフも出演者もクタクタになりながら、いい作品を作ろうと一生懸命頑張ってる。
自分がこの場に立って、初めてその事を知った。
だからこそ、自分も手を抜く事無くやれる事を精一杯やる。
ただのヘアメイクだけど、それでも舞美をより輝かせて見せる事ができるのは、私だけだから。