眠り姫はひだまりで

「………………っひっく」

先輩の最後の言葉が頭をリピートして、やまない。

泣くな、私…。
そう思っても、涙は出た。

「…………っミオ…………」

携帯を出して、ミオに連絡しようとする。でも、手が止まる。

ミオの家の用事とは、法事。今電話かけても、きっと電源切ってる。

じゃあ…………


カチ、カチ、と携帯の画面に羅列された名前を見る。

「……………あ………」


大和。

ミオの他に、先輩のことを知ってるのは、大和だけだ。

私は縋る思いで大和に電話をかけた。








大和は、私が座り込んでいた場所からすぐ近くの、コンビニにいた。


「色葉!」

走ってきてくれた大和に、私は深く安堵した。

「……や、やまとぉお……」


目は涙目で、少し腫れててだいぶひどい顔なんだろーな……。

あまりの私の様子に、さすがの大和もたじろいだ。


「…………あー、えっと、とりあえずさ、移動しよっか?」

大和が指差したのは、近くの小さな公園だった。


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