眠り姫はひだまりで
その笑顔に、ぽわぽわとあったかくなる。
顔も、こころも。
「じゃあ、また明日」
純くんが手を振って、一緒に歩いてきた道を、ひとりで歩いていく。
「…うん。また明日。ありがとう」
「いーえ。バイバイ」
「バイバイ…」
手を振りかえして、純くんの姿が見えなくなるまで、後姿を見つめて。
姿が完全に見えなくなったとき、夜風がぴゅう、と吹いた。
…寒いなぁ…
私は、のそのそと玄関の扉を開く。
ぽかぽか笑顔が、去っていった。
そのあとは、やっぱり寒い。
家のなかに入っても、それはあまり変わらなかった。