眠り姫はひだまりで

その笑顔に、ぽわぽわとあったかくなる。

顔も、こころも。



「じゃあ、また明日」

純くんが手を振って、一緒に歩いてきた道を、ひとりで歩いていく。

「…うん。また明日。ありがとう」

「いーえ。バイバイ」

「バイバイ…」

手を振りかえして、純くんの姿が見えなくなるまで、後姿を見つめて。

姿が完全に見えなくなったとき、夜風がぴゅう、と吹いた。

…寒いなぁ…

私は、のそのそと玄関の扉を開く。

ぽかぽか笑顔が、去っていった。

そのあとは、やっぱり寒い。

家のなかに入っても、それはあまり変わらなかった。


< 328 / 587 >

この作品をシェア

pagetop